History of BUBBLE
バブルの歴史
 
 
 1637 チューリップ・バブル 17世紀前半 オランダ 

16世紀にオスマントルコからチューリップを輸入。花の模様によりランク付けされる。
敵国スペインの衰退も伴い、オランダは繁栄、所得は急上昇。
チューリップは繁栄の象徴とされ、貴族・裕福層の顕示欲として、庭にチューリップを植えることを競い合うようになる。
1620頃〜1637年にかけて、ランクの高い球根の価格は暴騰する。
当時の年収300G(グルデン)に対し、球根1つが約6000Gにもなる。
その後、大暴落となり、長い間「愚かさの象徴」として国民から嫌われる花となった。

 1720 ミシシッピ計画 18世紀前半 フランス 

1717年、実業家ジョン・ローは、業績不振の植民地貿易・ミシシッピ会社の経営権を手に入れる。実質破綻状態であったフランス政府はこれに目をつけ、政府保証を行い、負債返済にあてようとした。
ミシシッピ会社は政府保証のもと、東インド会社、中国会社、他貿易会社を併合、インド会社となる。また、ローは王立銀行・造幣局まで所有するに至り、政府保証を担保に巧みなマーケティングを行う。
結果、実態のない同社の株に人々が殺到。500リーブル/株から15000リーブルまで暴騰。その後、株価は500リーブルまで暴落。
ローは国外へ逃亡した。

 1720 南海泡沫事件 18世紀前半 イギリス 

イギリスの財政危機を救うため、1711年、政治家ロバート・ハーリーが赤字国債引受先として、政府系奴隷貿易・南海会社を設立した。
しかし、本業は全く振るわず、国債を引き受けるどころではなかった。
そこで同社は、国債との時価等価交換という錬金術を生み出した。
政府保証の国債引受先ともあって、空前絶後の投機ブームに発展。
数ヶ月間で100ポンド/株から1050ポンドまで暴騰。その後、一気に80ポンドまで暴落した。
この期間、一攫千金を狙っての新興企業や、無許可会社・ヤミ会社までもが次々に乱立した。
このことが後のバブル経済の語源となっている。


 1790 運河バブル 18世紀後半 イギリス 

1760頃からイギリスの初期産業革命において、運河を用いた水運が盛んになっていた。
石炭・工業品・農産品などの輸送費を大幅に削減でき、大量物流の原動力となっていった。
イギリス各地で運河建設が進むにつれて「運河株」への投資熱が高まる。
1790年からは、投資に拍車がかかり、投機ブームに発展。
しかし1793年のフランス革命戦争によりバブルは終焉した。
1820年蒸気機関車の登場とともに、運河は鉄道に主導権を奪われていく。
 
                 
 1846 鉄道バブル 19世紀中頃 イギリス 

1820年頃からイギリスの産業革命は鉄道主体となっていく。
1840年頃には鉄道会社が乱立する状態となり、重複路線・不採算路線など過剰な設備投資が行われた。
そして、人々は「鉄道株」への投資へ殺到する。
ピークを迎えたのは、イギリス国内で実に272鉄道会社となった1846年。
当然のことながらバブルははじけ、4大鉄道会社になるまでに集約された。
アメリカでも1860年後半頃から新開拓地への鉄道ブームが起きている。

 1929 世界大恐慌  20世紀前半 アメリカ 

1910年頃からアメリカは、車・ラジオ・電気など科学技術の進歩なども伴い「世界の工場」として大繁栄時代を迎えていた。
発端は1925年フロリダで発生した住宅バブル。この時NYダウは$150ほどだった。
1927年には、信用取引や融資型投資信託などが開始され、国民全員が株を持つようになった。
投資熱が高まりすぎたため、1929春に中央銀行は金利上げを示唆する。
しかし、ダウは上げ続け、9/3最高値$381となる。
そして、1929.10.24(木)暴落開始(暗黒の木曜日)。一気に$272へ。
パニック売り殺到となり、10.29(火)には$230。(暗黒の火曜日)。
この暴落が世界へ波及し、米1/8, 蘭白1/5, 英仏1/2まで下落。世界は大混乱となった。

 1989 東京バブル 20世紀後半 日本 

日本は昭和高度経済成長末期にあり、基本的に右肩上がりの好況期であった。
1980年後半頃の日本の好景気を特にバブルと呼ぶ。正確には1986.12〜1991.02を指す。
引き金となったのは、1985年のプラザ合意(円高容認)。\240/$→\120/$へ。
これにより中曽根内閣は内需拡大政策をとる。
公共事業拡大、金融緩和、税制改革を行った結果、資金は、株・不動産へ流れ込む。
土地神話・地価高騰・住宅高騰・リゾート・ゴルフ場・財テク・海外不動産買収・美術品買収・高級車ブーム・ディスコなど、禰子も釈子も浮かれに浮かれ、日本は世界中で、やりたい放題状態となる。
そしてついに1989.12.29日経平均株価が、38915円87銭をつけた後、下落へ転じる。
1990.3日銀の金融引き締めが駄目押しとなり、暴落へと発展。
その後「失われた10年」を経て、2003.5、7603円76銭で一旦底をつけるも、2008.10には6994円90銭まで再下落し「失われた20年」が過ぎたが、日本はまだ後遺症に悩まされている。

 1997 アジア通貨危機 20世紀後半 タイ 

タイは、1970年頃から、高い教育・豊かな大地を背景に工業国として急速に発展。
外資を積極的に取り入れ高度経済成長を遂げていた。
通貨バーツは、当時ドルペッグ制を取り入れており、輸出により儲ける構造であった。
1995アメリカが「強いドル」政策をとると、連動してバーツ高となり輸出が打撃を受け、貿易収支が赤字へと転落してしまう。
投資家達は経済成長が鈍くなってきたことから資金逃避を始める。
そこへ目をつけたのが、ヘッジファンドである。
ドルペッグ通貨が過大評価されていることから、大量の空売りを売り浴びせた。
ファンド空売りvsタイ中央銀行買い支え。軍配はファンド側だった。
バーツは変動相場制を余儀なくされ一気に信用を失い、25B/$→56B/$と暴落。
それに伴い、証券SET指数は、1994年1753→1998年207と暴落。
また各国へ飛び火し、韓国はIMF介入、日本は銀行国有化、露危機、伯危機など大混乱した。

 2001 ITバブル 21世紀前半 アメリカ 

1990年末頃からインターネットが登場するやいなや、多くの会社がIT関連への投資に走った。
低金利政策も相成って、シリコンバレーには多くのIT企業群ができあがる。
1996年1000だったNASDAQ指数は、2000.3に5048まで急上昇した。
しかし、利上げなどの金融引き締めを行い、2002年には再び1000台まで行って来いとなった。
多くのIT企業は倒産へと追い込まれ、一部の優良企業しか生き残れなかった。

 2008 中国・ドバイバブル 21世紀前半 中国・ドバイ 






1978年改革開放路線を採用した中国は社会主義市場経済と呼ばれ、急速な発展を遂げる。
1978年比で約10倍、GDPで世界4位にまで成長。1984年に、4経済特区(後+1)と14海外開放都市を設置し外資を呼び込むことにより、毎年約10%の伸びで成長してきた。
しかし、官僚主義・汚職・賄賂・財産権侵害・格差・インフレ・食糧不足・環境問題など様々な問題を内包しながら突き進んでいる暴走機関車のようである。
2008年の北京五輪に向け、株式市場ではバブルが発生。
2006年50ポイントだった上海B株指数は2007.11に379まで上昇し、2008.10には86まで下落した。規模が大きいだけに成長余地があるものの、少なくとも五輪バブルははじけたであろう。

1971年、イギリスから独立となったドバイは、急速に産業の多角化を始める。
経済特区・大型港湾・航空整備を次々と進め、一気に近代化していく。
GDPの伸びは実に30倍にもなる。石油依存のイメージがあるがそれは間違いで、中東において貿易・商業・金融・リゾートなど最大の中心地メトロポリスとなっている。
2004年からの原油高も追い風となり、約15%の驚異的な発展を続けた。
まさに北京もドバイも摩天楼となっている。
しかし、2008.10の「リーマンショック」により陰りが見え始め、投資撤退・資金繰り悪化・工事中断・失業・観光客激減などが相次いで起こっている。
2009.11ドバイ政府が欧米系金融機関に対し支払い猶予を求めたことから、一気にユーロ売り・株売りとなり、世界中に波及した。「ドバイショック」
現在もなお、株価は下落過程にあり、今後も債務不履行など経済的混乱が予想される。

 20XX BRICSバブル 21世紀 ブラジル ロシア インド 中国 南アフリカ 






2000年から2050年にかけて、これら5カ国の時代が到来すると言われている。
2008年北京五輪、2010年上海万博、2010年南アフリカ・ワールドカップ、2016年リオデジャネイロ五輪など勢いそのままである。
ブラジルは食料が豊富、ロシア・南アフリカは資源が豊富、インドはIT、中国は世界の工場と時代は完全に変化していっている。
資源なし・食料なし・高齢化・少子化と活気のない日本とは対照的である。
今後数十年、これらの国でまたバブルが発生し消えていくのだろうか。
 
なぜバブルは発生するのか?
 結局人間というものはいつの時代も欲望のかたまりであり、我先にと儲け話に飛び付くのである。上記の歴史を見てもわかるように、人間は同じ過ちを何度も繰り返している。しかし、資本主義自由経済である以上、これらは仕方がないことだと思う。そこには企業競争が起き、その時代時代の最先端の知恵が詰まっているからこそ、発展していくのである。社会主義では競争がないため、バブルは発生しない。仮にあっても過度の公共事業ぐらいであろう。それは人間が競争の末絞り出した知恵ではなく、与えられた仕事である以上発展性はない。最先端の物に投資をし儲けることは悪いことではない。しかし、未来永劫その時代が続くと思うのは間違いである。
 
なぜバブルに巻き込まれるのか?
 バブルが発生するとゼロサムゲームである以上最後は誰かがババを引くのである。それでも人間というもの欲に目がくらむと自分だけはうまくいく、そんなはずはない、まだまだ上がるなど常軌を逸した判断しかできなくなる。そしてバブルが一旦はじけると、今度は我先にと脱兎の如く逃げ出すのである。逃げ足というものは、上げ足の3倍以上の速さと言われている。そして逃げ遅れた人が巻き込まれるのである。巻き込まれた人はその時の恐怖を後世に伝えていく。そして投資は怖い、相場はやるものではないとなっていく。よくよく考えると欲に目がくらみ、逃げられなかった自分の自己責任である。
 
なぜ復活できないのか?
 現在のように瞬時にいろんな情報が世界中を駆け回るのではない。したがって、チューリップがすごいという目の前の情報に洗脳されていく。そして我も我もとなってしまうのであろう。そして人生そんなに長くないのである。当時の平均寿命が50才とすると、投資できる環境にある人間は働き盛りの30才〜40才あたりの人間である。一度巻き込まれると二度とチャンスはやってこない。人間学習能力があるもので次は巻き込まれないようにするだろうが、3世代前のお爺さんの失敗談を学習しているわけもなく、今度は経験のない曽孫世代あたりが巻き込まれる。そして同じことを繰り返す。現在のバブル周期、平均寿命ではチャンスは2〜3回くらいはあるかもしれない。
 
現在のバブルについて
 歴史を鑑みると、欧米は早くからバブルを経験し、バブル崩壊がどういうものか研究しているはずである。日本がどうなるか、ある程度シュミレーションしていたと思われる。実際バブルの頂点で空売りを仕掛けまくっている。そして、ハゲタカとなり日本へ戻ってきた。昔のように武力で制圧する時代ではなくなった。そこでまず投資先を探し、発展させ、十分儲けたうえで今度は空売りでさらに儲ける。そしてボロボロにして買い漁る。これは一種の「空売原爆」と「経済型植民地」ではないか。先進国が発展しにくくなり、戦争がしにくくなった現在、この手法で儲けようとしているのではないかと思う。近年、バブル周期が早いのとバブル地域が多いことにアングロサクソンの意図的なものを少し感じてしまう。
 




天体の動きなら計算できるが、群衆の狂気は計算できない ニュートン